春の3月から4月頃、田んぼの準備を始めます。田んぼの土を掘り起こして空気を入れ、わらをすき込んだりして土を柔らかくします。この時はまだ水を入れずに行います。
4月はじめ頃、種もみを選別して育苗箱にまき、発芽させます。それをビニールハウスに移して、田植えができるまでに大きく育てます。
田んぼに水を入れて、肥料をまき、田植えに備えて土を平らにならします。これは苗が同じ深さに植えられるようにするための大事な作業です。
暖かくなった4月おわりから5月はじめ頃、苗の長さが12~13センチ、葉が3枚~4枚程度になったら、田植え機に苗をセットして、田植えを行います。やがて稲は生長して、根に近い茎の節から新しい茎が増えていきます。これを「分けつ」といいます。
夏に向かって、稲はぐんぐん育ってきます。定期的に肥料をまいたり雑草を取ったり、水の量を細かく調整したり、害虫の発生やイネの病気の発生に注意を払います。7月頃に土に酸素を十分に取り込むために「中干し」といって、いったん水を抜いて土を乾かします。
8月上旬から下旬頃に茎の中から、さやを割ってうす緑色の穂が出てきます。この穂にお米の花が咲きます。ひとつの穂にはおよそ100~200個の花が付きますが、ひとつひとつの花が咲いているのは2時間ぐらいの短い間で、この花がもみ(米)になります。花が咲くこの時期の天候がお米の収穫量に大きく影響するので、農家にとっては気の休まらない時期です。
花が咲いて受粉が終わると徐々にめしべの根元の部分(子ぼう)がふくらんでお米になっていきます。重みで穂先がたれて、外皮は黄金色になった9月下旬から10月頃、いよいよ実った稲を刈り取ります。現在では、コンバインで稲刈りと同時に稲穂からもみを取り分ける脱穀を行うことが多く、作業の手間もずいぶんとかからなくなりました。